
マイホームのキッチンを理想的に設計するには? 知っておくべき6項目
マイホームを建てるにあたって、キッチンの設計に悩む人は多いと思います。キッチンは使い勝手が大変重要になる場所です。今までのキッチンに使い勝手の悪さを感じ、「新しくするならここを改善したい」と思う点も多いのではないでしょうか。特に、キッチンにいる時間が長い奥さまにとって、キッチンの設計はこだわりたい部分の一つだと思います。この記事では、マイホームにおけるキッチンの役割や理想のキッチンについてご紹介しましょう。
この記事を読むことで、どのようなキッチンにするべきなのかが分かるはずです。ぜひ参考にして、理想のキッチンを手に入れてください。
1.マイホームにおけるキッチンについて
まずは、マイホームにおけるキッチンの役割や重要性などをご紹介します。
1-1.役割
キッチンは料理をするための場所です。一昔前まで、キッチンは「台所」「お勝手」などと呼ばれていました。家の奥まった場所に位置し、薄暗い場所というイメージが残っている人も多いのではないでしょうか。現在のような「台所兼食事室」という欧米型の影響を受けるようになったのは、戦後のことです。今や、キッチンの役割は単に「料理をする場所」ではなく、家族が集い、ともに楽しむ場所として変化してきています。
1-2.重要性
どのようなキッチンかは、その家の住みやすさにも直結する重要なポイントです。位置をどこにするか、どんな雰囲気のキッチンにするかによって、家の雰囲気や過ごしやすさも変わってくるでしょう。今やキッチンは、主婦だけでなく「家族全員が使うもの」というイメージが強くなってきています。そのため、設計の際はじっくりと検討する必要があるでしょう。
1-3.最近の傾向
最近の傾向としては、キッチンとリビングを一つの空間とするプランが人気を集めています。そのため、空間になじみやすいデザインのキッチンを選ぶ人が多くなっているのです。対面キッチンはもちろんのこと、カウンターがリビングの一部のようになじむアイランドキッチンなども人気があります。注目のメーカーは、LIXILやパナソニック・タカラスタンダードなどです。
2.キッチンの種類
キッチンにはさまざまな種類があります。それぞれのメリットなどをご紹介しましょう。
2-1.サイズ
システムキッチンの標準サイズは、間口が650~900mm、奥行きが420~450mm、深さが185~200mm程度です。比較的大きめの一層式シンクが一般的ですが、2つに区別された二層式のシンクのものもあります。レイアウトによって最適なサイズも変わってくるため、使い勝手のよさを考えて調節する必要があるでしょう。
2-2.施工における種類
施工においては、システムキッチンとオリジナルキッチンに分類されます。
2-2-1.システムキッチン
システムキッチンとは、シンクとコンロ・調理台・キッチン収納などが一体となったキッチンのことです。メリットには、デザインや機能が豊富という点、お手入れが簡単という点以外にも、工期が短いということも挙げられます。ただし、欲張りすぎると費用が高くなるため注意が必要です。
2-2-2.オリジナルキッチン
サイズやデザインをすべて自分で選ぶことができるのが、オリジナルキッチンです。素材や高さ・水回りの位置なども自由自在に作ることができるため、自分好みのキッチンができあがります。キッチンに強いこだわりがある場合、理想のキッチンを作りたいと考えている場合は、メリットが大きいでしょう。ただし、費用が高くなりやすいというデメリットがあります。
2-3.レイアウトの種類
レイアウトを種類別に分けると、独立型・対面型・壁付けなどがあります。
2-3-1.独立型
独立型とは、キッチンが独立した部屋になっているタイプのことです。キッチンとダイニングの間を壁と出入り口で仕切っているため、音や臭いがダイニングに届きにくいというメリットがあります。その反面、ダイニングにいる家族とコミュニケーションを取りにくくなるという点がデメリットでしょう。特に、小さな子供がいる家庭では、キッチンにいると目が届かなくなるため不向きです。
2-3-2.対面型
対面型とは、その名のとおりリビングやダイニングに対面する形で作業できるキッチンのことです。メリットは、何といっても解放感でしょう。リビングの様子が分かるため小さな子供がいる家庭でも安心です。しかし、家族とコミュニケーションを取りながら調理ができる反面、部屋全体に料理の臭いが広がりやすいというデメリットがあります。また、来客があったときのためにキッチン周りを常にきれいにしておく必要があるでしょう。
2-3-3.壁付け
壁付けとは、壁に向かって作業をするキッチンのことです。一番のメリットは、部屋のスペースを広く使えるという点でしょう。また、後ろにダイニングテーブルを置くことで配膳が楽になるという利点もあります。ただし、キッチンの中がまる見えの状態になってしまうため、抵抗を感じる人も多いという点がデメリットです。
2-4.そのほかのレイアウト
そのほかにも、さまざまなレイアウトの種類があります。
2-4-1.アイランドキッチン
壁から離れた場所にシンクや作業スペースが配置されているのが、アイランドキッチンです。調理スペースが広く、解放感があります。家族とのコミュニケーションが取りやすいだけでなく、複数人での調理にも向いているため、会話を楽しみながら料理をすることができるでしょう。ただし、アイランドキッチンを設置するためには広いスペースが必要です。また、価格が高いという点もデメリットでしょう。
2-4-2.ペニンシュラキッチン
ペニンシュラキッチンとは、キッチンの左右どちらかが壁に接した対面キッチンのことです。間取りの制約がないため、導入しやすいというメリットがあります。その反面、アイランドキッチンに比べると解放感に劣るという点がデメリットでしょう。
2-4-3.L型キッチン
L型キッチンとは、コンロとシンクが90度で向かい合っているキッチンのことです。作業スペースと収納スペースを広く確保できる点や、コンロとシンクの行き来が楽という点がメリットでしょう。ただし、コーナー下がデッドスペースになりやすいこと、価格が高くなりがちなことなどがデメリットになります。
2-4-4.U型キッチン
キッチンスペースがU字型に広がっているのがU型キッチンです。導線が短くなるため、作業効率がよくなるというメリットがあります。収納スペースを確保しやすいのも特徴でしょう。その反面、コーナースペースが2か所あるため、収納のしにくさを感じる部分もあります。
3.理想のキッチンを作るには~レイアウト編
理想のキッチンを作るためには、どのようなポイントを押さえておけばよいのでしょうか。
3-1.予算について
まずは、予算について考えましょう。システムキッチンにするかオーダーするかによって、予算は変わってきます。システムキッチンの場合、40万~100万円が相場です。一方のオーダーキッチンは、メーカーによって価格相場が異なるため、一概にはいえません。いずれにしても、機能やデザインによっても差が出てきますし、工事費用も業者ごとに異なるため、しっかり比較してから決めるようにしましょう。
3-2.ポイント
キッチン作りのポイントには、以下のようなものがあります。
3-2-1.家族構成とライフスタイル
暮らしに合ったキッチンを作ることが大切です。たとえば、時間をかけて料理を楽しみたい人と、できるだけ効率的に手早く料理をしたい人とでは、キッチンに求める条件が異なるでしょう。また、「友人を招いて料理をふるまいたい」「家族との会話を楽しみながら料理がしたい」など、ライフスタイルに合わせて考えていく必要があります。さらに、家族構成や家族の成長変化も視野に入れておいてください。子供が小さいうちは安全面を重視し、一緒に調理を楽しめるようなキッチンが望ましいでしょう。
3-2-2.動線と間取り
キッチンは使い勝手が重要です。調理中に「動きにくい」「ものを取りにくい」などという不満があると、気持ちよく作業することができないでしょう。調理の流れにはある程度決まりがあるはずです。その流れを押さえたうえで、効率よく動ける動線を考えてください。同時に、洗面所やトイレなど水回りの間取りも、キッチンを中心に検討することをおすすめします。
3-2-3.使い方や目的
キッチンをどのように使いたいと思っているか、考えてみてください。「家族が多い」「友人を招いて一緒に使えるキッチンにしたい」という場合は、スペースを広く使える対面式がおすすめです。「キッチンは自分だけの場所にしたい」という人は、独立型を選ぶとよいでしょう。
4.理想のキッチンを作るには~選び方編
理想のキッチンにするための選び方をご紹介します。
4-1.現状で使いにくい部分をメモしておく
何が理想のキッチンなのかを考えたときに、今使用しているキッチンと比較してみる必要があるでしょう。使い勝手が悪いと感じる部分があれば、その都度メモしておくことをおすすめします。その部分を改善するためにはどのようなキッチンを選べばよいのか、自然と分かってくるはずです。そのうえで、設計や工事を依頼する業者とよく相談して決めていきましょう。
4-2.便利で使いやすいキッチンにするための選び方
便利で使いやすい理想のキッチンにするためには、以下のポイントを参考にして選んでください。
4-2-1.収納
キッチンをストレスなく使うためには、十分な収納スペースが必要です。収納が少ないと、常にものが出ている状態になります。キッチンが散らかって不快な気持ちになるだけでなく、作業スペースが狭くなり、結果的に効率が悪くなってしまうでしょう。収納は、取り出しやすくしまいやすいものでなければなりません。どこにどんな収納が必要なのか、事前に考えておきましょう。
4-2-2.素材
どのような素材を選ぶかも重要です。ステンレスや大理石、クォーツストーン、タイルなどさまざまな素材の中から、家全体の雰囲気に合ったデザインや手入れのしやすいものを選ぶようにしましょう。
4-2-3.メンテナンスのしやすさ
キッチンは汚れやすい場所です。特に調理中に飛び散った油汚れなどは、時間がたつと落とすのが困難になります。汚れをためないためにも、できれば毎日掃除をしたいところですよね。しかし、毎日となると負担に感じる人も多いのではないでしょうか。そこで、もともと汚れにくい素材のものや、汚れても落としやすい素材のものを選ぶことをおすすめします。メンテナンスにかける時間を短縮できるため、家事も少し楽になるでしょう。
4-2-4.設備
キッチンの設備についてもしっかり考えてください。欲しい機能がそろっていれば、毎日の家事がもっと快適なものになるはずです。
- コンロ:トッププレートのサイズやバーナーの間隔・お手入れのしやすさ・魚焼きグリルの機能などをチェック
- 換気扇:フードの形状や素材・機能(自動洗浄・換気風量の自動調節など)などをチェック
- 食洗器:必要性・サイズ・扉の開き方・使用水量などをチェック
- オーブン:電子レンジとオーブンが一体になっているか・ビルトインタイプかなどをチェック
5.マイホームキッチンのアドバイス
マイホームのキッチンについて、メーカーや業者の選び方やポイントなどをまとめました。
5-1.メーカーについて
キッチンを選ぶ際に、どこのメーカーにするか迷う人は多いでしょう。メーカーごとに特徴の違いがあるため、しっかり比較して決める必要があります。おすすめは、ショールームに足を運んでみることです。実物を見ることで、確実にイメージをつかむことができるでしょう。カタログを見ただけでは分からないメリットやデメリットも見えてくるはずですよ。
5-2.業者選びのポイント
次に、工事を依頼する業者の選び方です。業者によっては、付き合いのあるメーカーが決まっていることも多いため、事前に確認しておきましょう。もちろん別のメーカーのキッチンを依頼することも可能ですが、付き合いのあるメーカーのものを使ったほうが価格は安くなります。そのほかにも、以下のようなポイントを参考にして業者選びを行ってください。
- 豊富な実績があるか
- オーダーやセミオーダーに対応してくれるか
- 提案力はあるか
- 質問に対して丁寧に答えてくれるか
- スタッフの対応が親切であるか
5-3.システムに頼り過ぎない収納を
システムキッチンには収納スペースも一体になっているため、十分な収納スペースを確保できます。しかし、すべての収納をシステムに頼るのではなく、自分がより使いやすいように工夫することも大切です。無理にシステムキッチンにすべて収納しようとするより、パントリーを設置したり市販の家具を利用したりして、使い勝手のよいキッチンを作ってください。
5-4.ポイント
キッチンを作る際には、ごみ箱や勝手口・コンセントの位置にも注意が必要です。キッチンで作業するときの動線をよく考えたうえで、必要な場所に設置しなければなりません。できあがってから「ここに勝手口があるとよかった」「コンセントがここだと困る」ということにならないよう、十分な検討をしておきましょう。
6.マイホームキッチンに関するよくある質問
「マイホームを建てるのでキッチンについて知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。
Q.キッチン収納にありがちな失敗例を教えてください。
A.「高い位置に収納スペースを作ったら、出すのが面倒で使わなかった」という失敗例が多くなっています。出し入れするために台を使わなければならないような場所には、収納スペースを作らないのがおすすめです。
Q.食洗機はどのような家庭におすすめでしょうか?
A.4人家族以上で食器を洗う量が多い家庭におすすめです。「友人を招いて食事をすることが多い」という家庭にも、あると便利でしょう。2人家族などで食器の量が少ない場合は、「手で洗ったほうが早い」と感じて食洗器をめったに使わないことが多いのです。
Q.キッチンの床下収納はあったほうがよいでしょうか?
A.収納スペースが増えて便利に感じる人も多いと思います。しかし、取り出すのに手間がかかるため、調味料のストックなど、使用頻度の少ないものを収納している人が多いでしょう。
Q.理想のキッチンの高さはどのように求めればよいですか?
A.「身長÷2.5cm」が理想の高さといわれています。一番キッチンで作業する時間が長い人の高さに合わせてください。
Q.おしゃれなキッチンにしたいのですが、見せる収納のポイントにはどのようなものがありますか?
A.できるだけ色を統一してまとまりを出すこと、保存容器やケースなどは形を統一することなどです。収納ボックスだけでなく、壁面も活用してすっきり見せることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか? マイホームを建てるにあたって、キッチンの種類や作り方のポイント・選び方などをまとめてご紹介しました。キッチンで過ごす時間が長い主婦にとって、どのようなキッチンにするかは重要な問題です。今のキッチンに対する不満をしっかりと把握したうえで、自分にとって満足のいくキッチンを作ってください。