マンションの外壁塗装について知りたい! 一戸建てとの違いは何?

マンションは、アパートよりも大規模な集合住宅です。分譲マンションの場合は、住人の手によって定期的に公共部分のメンテナンスを行わなければなりません。その中でも、外壁塗装などの大規模修繕はお金もかかりますし、「どうやって業者選びなどをしてよいか分からない」と悩む人も多いでしょう。

そこで、今回はマンションの外壁塗装について解説します。

  1. 外壁塗装の基礎知識
  2. マンションを外壁塗装するまでの流れ
  3. マンションの外壁塗装に関するよくある質問

この記事を読めば、外壁塗装の重要性や業者選びのコツもよく分かるでしょう。興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.外壁塗装の基礎知識

はじめに、外壁塗装の役割や必要性、マンションと戸建ての違いなどを解説します。なぜ、外壁塗装は定期的な塗り替えが必要なのでしょうか?

1-1.外壁塗装の必要性

外壁塗装とは、文字どおり外壁の上に塗料を使用して塗装をすることです。使用する塗料や色によって、建物の印象は大きく変わるでしょう。また、外壁は雨や風から家を守る大切な役割を担っていますが、防水性や断熱性はあまり高くありません。そこで、外壁塗装を施すことにより、防水性・断熱性・防汚性などを高めています。ですから、外壁塗装を劣化したまま放置しておけば、家そのものの寿命が短くなる可能性もあるでしょう。

1-2.外壁塗装の寿命はどのくらい?

外壁塗装の寿命は、塗料の種類によって以下のように異なります。

  • アクリル系塗料:8年未満
  • ウレタン系塗料:10年未満
  • シリコン系塗料:13年前後
  • フッ素系塗料:18年前後
  • 光触媒塗料:20年前後

これはあくまでも目安であり、家が建っている環境によっても異なるでしょう。また、技術の進歩により、新しい塗料のほうが耐久年数が長い傾向にあります。

1-3.外壁を塗り替える目安

前述のとおり、外壁塗装に使われている塗料は寿命があります。長年外壁塗装の塗り替えを行っていないと、家の外観が劣化するだけでなく、防水性や断熱性も下がってくるでしょう。ひどい場合は、壁から雨漏りをする可能性もあります。雨漏りが一度起こってしまえば、家の寿命は一気に短くなるでしょう。そのため、以下のような症状が発生したら、至急塗り替えを検討しましょう。

  • 壁に幅2㎜以上のひび割れができている
  • 外壁にコケや黒カビが広範囲にわたって発生している
  • 外壁の汚れが掃除をしても落ちなくなってきた
  • 外壁を手で触ると白い粉がつく(チョーキング)

これらの症状がなくても、築10年を超えた建築物は、いちど外壁塗装の状態をチェックしてもらうと安心です。

1-4.一戸建てとマンションの違い

一戸建てもマンションも、定期的に外壁塗装の塗り替えが必要です。特に、マンションの場合は約10年ごとに大規模修繕が推奨されています。マンションと一戸建ての違いは、外壁の面積や外壁の材質です。また、マンションの外壁塗装を行える業者は、どうしても限られるでしょう。さらに、マンションはどんなに小さいものでも一戸建てよりは大きいですから、その分費用と期間かかります。そのため、分譲マンションの場合は毎月修繕積立費を住人から徴収し、外壁塗装をはじめとする大規模修繕に備えているところが大半です。ですから、一戸建てよりも修繕計画は立てやすいでしょう。その一方で、積み立てた金額以上に修繕費用がかかることもあります。この場合は、住人に対して説明会を開き、費用を追加徴収することが一般的ですが、トラブルになることもあるでしょう。

2.マンションを外壁塗装するまでの流れ

この項では、マンションの外壁塗装を行うまでの流れを解説します。どのようなステップを踏んでいくのでしょうか?

2-1.大規模修繕委員会の設置

分譲マンションの場合は、管理組合がマンションの修繕費を管理したり、共有部分の管理等を行っています。小規模なマンションの場合は管理組合がそのまま大規模修繕の手続きを行うこともあるでしょう。大規模マンションの場合は通常の管理組合のほかに、大規模修繕委員会などを設置し、業者との交渉や日程の管理等を行うのが一般的です。
なお、賃貸マンションの場合は大家さんや管理会社が大規模修繕を責任もって行うので、住人が特にすることはありません。

2-2.業者の選び方

マンションを販売している会社によっては、メンテナンス業務もグループ会社ですることがあります。それ以外の場所では、修繕委員会などが業者を選ぶことが一般的です。マンションの外壁塗装を行う会社は複数ありますので、それぞれから見積もりを取り、比較してみるとよいでしょう。ただし、一概に料金が安い業者がよいというわけではありません。
前項で、塗料による耐用年数の違いを説明しました。耐用年数が短い塗料はその分安価です。しかし、次の大規模修繕までの期間が短くなれば、かえって費用がかかるでしょう。また、外壁塗装に使う塗料は一定の厚みで塗らないと効果がありません。塗料を薄く塗って量を少なくすれば、その分費用が安くなりますが、耐用年数は短くなるでしょう。ですから、ほかの業者に比べて極端に安い業者は、その理由を必ず聞いてください。はっきりと答えてくれないような業者は、利用しないほうがよいでしょう。インターネットなどを利用し、口コミを調べるのも効果的です。
このほか、こちらの質問に対して丁寧な返答をしてくれる業者は信用できるでしょう。アフターフォローが手厚く、塗装した後で定期メンテナンスを提案してくれる会社もおすすめです。

2-3.塗装までの流れ

外壁塗装の流れは、

  • 足場を組む
  • 外壁の状態をチェックして洗浄を行う
  • 外壁の修理をする(必要な場合)
  • 外壁塗装を行う

というものです。マンションならば、1か月以上かかる場合もあります。塗装中は職人が窓の外を行きかうこともありますし、養生によって窓が開けられない日もあるでしょう。事前に住人への説明をしっかりとおこない、理解を得ましょう。賃貸マンションの場合も同様です。

2-4.外壁塗装を行うのに適した季節とは?

外壁塗装を行うのに適した季節は、春と秋です。夏は暑いので窓が開けられなかったりエアコンが使えなかったりすると、不便でしょう。冬は、5℃以下になると外壁塗装が行えません。降雪があってもダメです。ですから、寒冷地では、冬の外壁塗装はできないと考えましょう。春と秋はマンションの外壁塗装依頼が殺到する業者もあるので、早めに申し込んでおくことが大切です。

2-5.注意点

マンションでは、大規模修繕委員会の設置から実際に外壁塗装が始まるまで、1年以上かかることもあります。その間に外壁の劣化が進めば、マンションの価値が下がってしまうこともあるでしょう。大規模修繕の時期が近づいたら、早めに動きましょう。また、築年数が経ったマンションでは、外壁塗装を行うために清掃や点検をしていたら、大規模な修繕が必要な個所が見つかったということもあります。そのため、工事期間が長くなることもあるでしょう。
賃貸マンションの場合は、大家さんや管理会社が外壁塗装を行うことを住人への周知を徹底することが大切です。車の移動などが必要になった場合、周知が不完全だと協力してもらえないことがあります。掲示板への張り紙や、各戸のポストへお知らせのチラシを入れ、必要ならば説明会も開催しましょう。

3.マンションの外壁塗装に関するよくある質問

Q.マンションに使われている塗料は、10年前後は持つものでしょうか?
A.築20年未満のマンションに使われている塗料は、10~13年前後が寿命のものが一般的です。

Q.分譲マンションの場合、自宅部分の外壁だけ個別に塗装し直してもらうことはできますか?
A.マンションの外壁は分譲でも共有部分となり、勝手に塗装したりすることはできません。

Q.マンションの外壁塗装費用はどこで決まるのでしょうか?
A.高さとマンションの面積です。高層マンションほど足場も多く必要になるので、高値になります。低層マンションならば200万~300万円の塗装費用が、10階建てのマンションでは倍以上になることもあるでしょう。

Q.タイル張りのマンションでも、塗装の塗り替えは必要ですか?
A.はい。必要になります。やはり10年前後ごとに塗り替えをするのが一般的です。それに加え、タイル張りの場合はタイルの浮きがないかどうか、塗り替えの際にチェックする必要があります。

Q.足場を組まずに塗装を行うことは可能でしょうか?
A.足場を組まずに外壁塗装や修理を行う業者はありますが、すべてのマンションに行えるわけではありません。足場なしの塗装を希望している場合は、一度業者に相談してみましょう。

4.おわりに

いかがでしたか? 今回はマンションの外壁塗装について解説しました。外壁塗装を含むマンションの大規模修繕は、トラブルも発生しやすいものです。自分ができるだけ関わりたい場合は、大規模修繕委員会の一員になるなどして、業者の説明などを直接聞くようにしましょう。前述のとおり、安く済めばよいというものでもありません。10年先を見据えて修繕を行いましょう。