高気密高断熱住宅とはどんな家？ 建てる際の注意点について

1．高気密高断熱住宅とは？

この項では、高気密高断熱住宅の原理や、一般的な日本家屋との違いを紹介しましょう。

1-1．高気密高断熱住宅とは？

高気密高断熱住宅とは、日本ではもともと北海道で普及した住宅です。
ご存じのように北海道は冬の寒さが大変厳しいところ。
ですから、冬を暖かく過ごせる家の需要が高かったのです。
高気密高断熱の家は、壁や窓から冷気が入ってくるのを防ぎ、家の中から暖かい空気が出ていくのを防ぐ構造をしています。
ですから、一度温まった空気が外に逃げることなく暖かく過ごせるのです。

1-2．従来の住宅との違いは何？

日本の住宅は、昔から「夏を涼しく過ごせる」ことに重点が置かれていました。
これは同時に湿気を防ぐ対策でもあったのです。
日本の家は木と紙で作られていますから、湿気が大敵だったのです。
ですから日本の伝統的な家屋は間口が広く、壁が少なく、隙間がたくさんあります。
夏に古民家を訪れると風通しが良く、冷房をかけていないのにひんやりとした空気が家の中を吹き抜けていきます。
これが日本の家屋の特徴なのです。
高気密高断熱はこの真逆の家、と考えましょう。

1-3．夏は暑くないの？

高気密高断熱の家は、冬を暖かく過ごすことを第一に考えています。
ですから、高気密高断熱の家は熱がこもりやすい家と言えるでしょう。
この家が日本で一番普及している北海道は、夏も冷涼な気候ですから熱もこもりにくいです。
しかし、本州の盆地となると夏の蒸し暑さはかなりのもの。
高気密高断熱の家を建てれば、夏の室温はそのままではうなぎ上りです。
そこで活躍するのがエアコンと２４時間換気システムです。
夏場は窓を閉め切り、エアコンをつけっぱなしという家は多いでしょう。
高気密高断熱住宅では、暖房と同じようにエアコンの冷気も外に逃しません。
また、２４時間換気システムがあれば、汚れた空気と新鮮な空気が窓を開けずに交換可能です。
つまり冬暖かく、夏涼しい家ができ上がるのです。また、光熱費の節約にもなるでしょう。

2．高気密断熱住宅で注意すること

さて、ここまで高気密断熱住宅の特徴やメリットをご紹介しましたが、デメリットはないのでしょうか？
そこでこの項では、高気密断熱住宅を建てる際、暮らす際に注意しなければならない点を紹介します。

2-1．湿気対策はしっかりと

高気密断熱住宅は気密性が高いため、湿気がこもりやすいというデメリットもあります。
通常はしっかりと防湿対策がとられており問題はないのですが、いい加減な業者に施工を任せてしまった場合、家がカビだらけになるという恐れもあります。
十分に木材を乾燥させるなど、十分な湿気対策を行うことが大切です。

2-2．換気システムのメンテナンスが大切

夏の高気密高断熱住宅の快適さは、２４時間換気システムとエアコンにかかっています。
万が一この２つのどちらかが故障した場合は、一気に住みにくい家になってしまうでしょう。
すぐに修理できる程度の故障なら良いのですが、器材ごと取り換えなければならない場合は、蒸し風呂のような家の中で何日も過ごさなければならないかもしれません。
ですから、エアコンや換気システムのこまめなメンテナンスや日常の清掃が大切になってきます。

2-3．将来の増改築が難しい

増改築リフォームを考えた場合、新しく建てた部分との断熱性能の差が生まれてしまい、結露が発生するなどの問題が生じる可能性が高いです。
高気密高断熱住宅では増改築ができないと考えておいたほうがよいでしょう。
将来の暮らしを見据えて住宅の設計を考えることをオススメします。

3．高気密高断熱の家を建てる前に確認すること

では、実際に高気密高断熱の家を建てたい場合はどうしたらよいのでしょうか？
この項ではそれをご紹介します。

3-1．実際に実物を見てみる

高気密高断熱の住宅に住みたい、と思ったらまずは実物を見てみましょう。
住宅展示場などでモデルルームが公開されていることが多いです。
見学に行けば実際に営業マンがいろいろと説明してくれますので、その際に疑問に思ったことは聴いてみるとよいでしょう。
現在、高気密高断熱住宅は北海道、東北、北関東、北陸に多く、それ以外の地域では少なくないです。
政府が「省エネ住宅」として高気密高断熱の住宅を盛んにPRしていますが、普及状態を見るとやはり地域によって向いている場所、向いていない場所はあるようです。
関東以降西で高気密高断熱の住宅に住みたい、という場合は特に防湿に力を入れて住宅を建築する必要があります。
建築メーカーとよく話し合ってみてください。

3-2．業者選びは慎重に

現在、高気密高断熱住宅の明確な規格はありません。
住宅メーカーが「この家は高気密高断熱住宅です」といえば、それは高気密高断熱住宅として販売できるのです。
ですから、一口に高気密高断熱住宅といってもいろいろなものがある、と覚えておきましょう。
「高気密高断熱住宅にしたけれど、ちっとも暖かくないし、電気代も安くならない」という意見を聞くことがありますが、これはいい加減な業者が見よう見まねで作った高気密高断熱住宅かもしれません。
高気密高断熱住宅の人気に便乗して、建築を引き受ける業者はたくさんいますが、北海道以外ではまだまだ正確なノウハウを持った業者は少ないのが現状です。
ですから業者を選ぶ際は豊富な建築実績を持ち、評判の良い業者を選ぶことが大切です。

3–3．地域に合った家を建てる

高気密高断熱住宅は北海道や北欧など寒く、乾燥した地域で生まれた住宅です。
ですからその工法をそのままに高温多湿の場所に建てたら、住みにくい家ができ上がってしまう恐れもあるのです。
現在は業者もいろいろと工夫して、地域に合った高気密高断熱住宅を建てる努力をしています。
ですから、地元密着型の建築会社に依頼をした方が住みやすい家を建ててもらえる可能性が高いでしょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
今回は高気密高断熱住宅の仕組みや特徴、建てる際の注意点をご紹介しました。
まとめると

• 高気密高断熱住宅は冬を暖かく過ごせる住宅
• 湿気対策が大切
• 地域に合った高気密高断熱住宅を建てる

ということです。
これらのことに注意して快適に暮らすことの高気密高断熱住宅を建ててくださいね。