
サイディングの塗装方法について知りたい! 外壁を美しく保つコツ
サイディングは、建築物の外壁材として使用されている素材です。サイディングボードとも呼ばれており、板状になっています。サイディングといっても、窯業(ようぎょう)系・金属系・木質系・樹脂系と種類によって特徴が異なるので注意が必要です。また、種類によって、メンテナンス時期も異なるため、きちんと把握しておかなければならないでしょう。そこで、本記事では、サイディングの特徴から、上手に塗装するために必要な知識をチェックしていきます。
この記事を読むことで、サイディング塗装を正しく行うための知識を身につけることができます。塗装を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.サイディングの基礎知識
まずは、サイディングがどんなものか、基本情報を知ることが大切です。
1-1.どんなものか、特徴について
サイディングとは、外壁に張って使用する仕上げ材の総称です。外壁には、モルタル・ALC・タイル張りなどさまざまな種類がありますが、サイディングが大半を占めています。今、最も注目されている外壁材といえるでしょう。
サイディングの大きな特徴は、セメントと繊維質を主原料にした板状のものを、外壁に張りつけることです。サイディンボードともいわれており、建物の骨格に合わせて張りつけるため、施工時間が短く費用が安い傾向があります。種類も豊富なので、多くの住宅メーカーも取り入れているのです。
また、軽量で耐久性・耐火性に優れていることも、サイディングの特徴となります。
1-2.種類
サイディングには、窯業系・金属系・木質系・樹脂系の4種類があります。それぞれの特徴を以下にピックアップしてみました。
1-2-1.窯業系
サイディングの中でも、約70%のシェア率を誇っているのが窯業系です。窯業系は、セメント質および繊維質が原料のものになります。耐久性・防汚性・耐傷性・耐火性・遮音性・断熱性・防水性など、バランスが優れたサイディングです。中でも、雨水で汚れが落ち、長く再塗装をせずに済むという特徴から人気があります。
1-2-2.金属系
金属系は、成型された金属板と裏打ち材で構成されているサイディング材です。断熱性・防音性・耐火性・耐久性に優れており、軽量で取り扱いが簡単という特徴があります。また、金属系サイディングには、スチール系・アルミ系・ステンレス系の3つに分かれているのです。
- スチール系:焼き付け塗装で厚手のものほど耐火性に優れている。デザイン性が高い
- アルミ系:軽量でやわらかく、錆(さ)びにくい
- ステンレス系:耐久性・耐候性に優れており、金属系の中でも比較的高価
1-2-3.木質系
木質系は、天然木などに塗装を施したもので、表面に炭化処理がされています。天然木を使用しているため、耐火性や汚れにくさがほかの種類よりも劣っていますが、デザインに味わいが出て、経年による木材の色合いの変化が楽しめるでしょう。
1-2-4.樹脂系
樹脂系は、塩化ビニル樹脂製の外装材で、耐久性・耐塩害性・耐冷害性・耐候性に優れています。軽量であることから運搬・施工が簡単で工期が短く、撥水(はっすい)性に優れているものもあるので雨漏りの心配もありません。また、弾力性があり、衝撃に強い特徴もあります。
1-3.最近の傾向
先述したとおり、外壁材の中でもバランスに優れている窯業系サイディングの採用率が上昇しています。普及した理由としては、耐震性・防耐火性に優れている、豊富なデザイン、安く施工ができるという3点が大きな要素です。特に、シンプルなものから本物のようなタイル調など、幅広いデザインが選べると好評になっています。
2.サイディングの塗装について
では、サイディングの塗装はどのようにすればよいのでしょうか。塗装を業者へ依頼する前に、知っておきたいポイントを1つずつ説明します。
2-1.サイディングの塗装とは
サイディングの耐用年数は、約7~8年といわれています。具体的な年数は種類によって異なりますが、目安として覚えておいてください。サイディングの基材は吸水性があるため、防水機能を塗膜で補っています。よって、塗膜の劣化を放置すると、雨漏りなどが発生し、建物の構造に大きな影響を与えるおそれがあるのです。サイディングの劣化症状としては、以下の要素があります。
- サイディングボードが反(そ)る
- ヒビ割れ、剝(は)がれ
- シーリング材の劣化
- チョーキング現象(さわると白い粉がつく状態)
2-2.外壁リフォームについて
サイディングの劣化症状が現れ始めたら、外壁リフォームを行う時期です。外壁リフォームは、建物の外見を美しくするだけでなく、機能性や耐久性を高める役割も担っています。使用する塗料には、防水・防カビ・抗菌などさまざまな機能を持つものもあり、住宅の寿命を延ばす効果もあるのです。また、外壁リフォームの方法としては、外壁塗装(塗り替え)・重ね張り・張り替えの3つがあります。
2-3.工法について
最も費用が安く、手軽に行える工法が「外壁塗装(塗り替え)」です。新しい塗料を外壁に施す簡単な方法となります。既存のサイディング・モルタルの上から、タイル・新しいサイディングなどを張るのが「重ね張り」です。重ね張りは上から張りつける方法ですが、既存の外壁・下地を取り払って新たに施工する「張り替え」もあります。それぞれの工法によって費用・工期が異なるため、業者との打ち合わせで確認が必要です。
2-4.種類、色について
デザイン性に優れているサイディングには、さまざまな色の種類があります。主な種類は、白系・グレー系・黒系・茶系・ベージュ系です。色は外見の印象を大きく変えるポイントになるでしょう。
また、柄の種類も豊富なので、人気のあるタイプを以下にピックアップしてみました。
- 石積み調:落ち着いた雰囲気が特徴。大きめの石柄から、細長いものまである
- レンガ・タイル調:外国風な家に仕上げることができる
- 木目調:落ち着いた雰囲気が演出できる
- 塗り壁調:家の雰囲気をスッキリまとめることができる
2-5.注意点
サイディングの塗装で注意してほしいのが、カタログと実際の色が若干異なることです。絶対に違うというわけではありませんが、実物とのギャップに失敗したケースもあります。カタログだけでなく、実際に施工した家を見せてもらうとよいでしょう。また、サイディングのサンプルを取り寄せて、日の当たる場所や日陰に置いて確認してください。
3.サイディングの塗装工事について
サイディングの塗装工事の流れ・施工期間などについて説明します。
3-1.工事の流れ
業者に依頼すると、工事前の現地調査を行います。実際に、外壁の状態やサイディングの種類などを確認して、適切な工法とサイディングの種類を選ばなければなりません。要望を伝えながら業者と一緒に種類を選び、最終的な見積もりに納得して工事へとすすみます。
塗装工事の始まりから完了までの流れを、以下にピックアップしてみました。
- 足場を組み立て、洗浄水の飛散防止シートをかけて養生する
- 外壁に付着したホコリや汚れを落とす
- 外壁のひび割れや劣化したシーリングなどの補修を行う(下地補修)
- 上塗り材と外壁を密着させるための下塗りを行う
- 仕上がりの色となる塗料を塗る(中塗り・上塗り)
- 足場を解体して完了
塗装工事の中でも、上塗りは塗装の性能を発揮させる重要なポイントです。基準塗布量と乾燥時間を厳守して、塗り重ねていきます。
3-2.施工期間
施工期間は工法によって異なります。重ね張りの場合は、約10日間~2週間です。張り替えは既存のサイディングを撤去する必要があるため、約2~3週間と長くかかる傾向があります。また、外壁の下地が傷んでいたり、範囲が広かったりすると、さらに工期が延びる可能性もあるでしょう。
3-3.メンテナンスについて
外壁を長く美しく丈夫に保ち続けるためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。サイディングの耐用年数は約7~8年なので、7年を目安に業者によるメンテナンスを行ってください。また、常日頃から自分で外壁の状態をチェックしておくとよいでしょう。そうすれば、サイディングの劣化状態にいち早く気づき、早い段階で修繕ができます。
3-4.費用相場
サイディング塗装の費用は、工法・外壁の状態・施工範囲などで異なります。あくまで目安となりますが、延床面積40坪で約180万~250万円はかかるでしょう。外壁リフォームの価格は、50万~150万円が中心価格となっています。古い外壁の撤去が必要な場合は、100万円以上かかる傾向があるため、業者の見積もりを細部までチェックしましょう。
4.サイディング塗装の業者選び
適切なサイディング塗装ができるかどうかは、業者の腕にかかっているといえます。安心して依頼できる業者を選ぶためにも、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
4-1.選び方のポイント
業者選びのポイントは、以下のとおりです。
- 外壁塗装の実績・経験があるか
- 要望に応えながら、適切な工法・種類などをアドバイスしてくれるか
- 見積書が細部まで記載されているか
- ホームページに施工事例が載(の)っているか
- サイディングの種類を豊富に取りそろえているか
- スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
- アフターサービスが充実しているか
4-2.見積もり・価格について
業者選びにおいて、見積もりは最も大切なポイントとなります。どの工事にいくらかかるのか記載されているので、細部まで必ず確認してください。もし、疑問点や不安な点がある場合は、すぐにその場で確認をとりましょう。丁寧に説明してくれる業者なら、安心して依頼できます。
4-3.注意点
業者の中には、「後で追加料金を請求する」「きちんと施工してくれない」という悪徳業者も存在しています。業者との間でトラブルも多発しているため、複数の業者を比較して悪徳業者と優良業者を見極めなければなりません。
4-4.相談窓口
サイディングの塗装に関して相談したい場合は、無料相談を利用するとよいでしょう。外壁塗装を行っている業者の中には、無料相談・無料見積もりを受けつけているところがあります。必ずしも、依頼をしなければならないというわけではありませんので、気軽に相談できるでしょう。ホームページのフォーム、または電話で受けつけているので、ぜひ利用してください。
5.サイディングに関してよくある質問
サイディングに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.モルタルとサイディング、どちらがいいのか?
A.サイディングの次に需要のあるモルタルは、耐火性に優れている点が特徴です。ただし、何度も塗る作業が必要・材料費や工費がかかる・ヒビが入りやすいというデメリットがあります。悩むときは、外壁材のメリットとデメリットを比較するとよいでしょう。
Q.サイディングのデメリットはあるのか?
A.サイディングにもデメリットはあります。それは、シーリングのメンテナンスが必要なことです。ボードとボードをつなぐためには、シーリングと呼ばれるゴムを使用しなければなりません。ゴムが劣化すると、そこから水が浸入し、変形や反り・ヒビ割れを起こす原因となります。
Q.メンテナンスの負担を減らすポイントとは?
A.最近の工法では、シーリング材のうち替え回数を削減する「プラチナシール」「ドライジョイント工法」が開発され登場しています。メンテナンスの負担を大幅に減らす工法なので、これらを採用するのも方法の1つでしょう。
Q.施工時、近所へ迷惑がかからないように配慮したい
A.きちんとした業者なら、施工前に近隣住宅へ一言挨拶をします。また、塗料などが飛び散らないようにブルーシートをかぶせるなどの工夫を行っているので、一度相談するとよいでしょう。
Q.業者とトラブルになったときの対処法とは?
A.できるだけ、早めに国民生活センターか、消費者センターに相談してください。時間が経過するほど、解決策が限られてしまいます。抱え込まずに相談したほうが、深刻になる前に対処できるでしょう。
まとめ
いかがでしたか? サイディングは、建物の外壁材として最も需要が高い種類です。耐火性・耐久性・防音性・手頃な価格と、トータルに考えてバランスが非常に優れているといえます。また、デザイン性も幅広く、理想的な外観に仕上げることができるでしょう。ただし、耐用年数が約7~8年といわれているため、定期的なメンテナンスが必要です。きちんとメンテナンスをしなければ、雨漏りなどが発生し建物の耐久性に悪影響をおよぼすおそれがあります。外壁の状態をチェックしつつも、適切な種類・工法を選択してメンテナンスを行いましょう。