事故物件の掃除は個人では無理? 特殊清掃の内容や依頼方法のまとめ

事故物件という言葉を聞いたことがありますか? 自殺や殺人事件がおこってしまった部屋という印象を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。実は、孤独死の場合でも事故物件となってしまうのです。最近では、高齢化社会や核家族化の影響から、高齢者の孤独死の件数も増えてきています。そのため、事故物件と関わり合いになることは少なくないのです。そこで今回は、事故物件の掃除や特殊清掃などについてご紹介します。

  1. 事故物件とは?
  2. 事故物件の清掃はどうしたらいいか
  3. 事故物件の清掃を業者に依頼する方法
  4. 事故物件についてよくある質問
  5. まとめ

事故物件の掃除について知りたい方や、特殊清掃を依頼したい方のための情報をまとめました。ぜひ最後までこの記事を読んでみてください。

1.事故物件とは?

まずは、事故物件について基礎知識をまとめました。

1-1.事故物件とはなにか?

事故物件とは、主に住人および客人等が自然死以外で死亡した部屋や住居をいいます。事故物件として扱われる死因や状況としては、自殺・他殺・火災・放火・孤独死(※)などが一般的です。「訳あり物件」と呼ばれることもあるでしょう。ちなみに、近くに墓場・ゴミ処理場・暴力団組織等の事務所などがある場合も、訳あり物件と呼ばれますが、この記事では、前述のとおり死亡があった部屋という定義とします。
(※孤独死は、遺体発見が遅れるため事故物件となることが多い)

1-2.事故物件の問題点

事故物件の問題点は、次の住居者が住みにくいということです。死者が出た部屋は、心理的に住み心地が悪いと感じてしまうでしょう。そのため、貸し主や不動産業者は、その部屋が事故物件であることを借り主に伝える義務があります。ただし、前々回以前の住人が死亡した場合や、約3年以上前の事故等の場合は告知義務はありません。

2.事故物件の清掃はどうしたらいいか

この項では、事故物件の清掃についてご紹介します。

2-1.事故物件の清掃の負担者について

事故物件となった部屋や共有スペース等の清掃費用はだれが清掃費用を負担する必要があるのでしょうか。孤独死を例にとって、負担する可能性が高い順にご説明します。

  • 連帯保証人:住人への訪問や管理などによって、孤独死を防げた可能性等が考慮され、支払い義務が発生する。
  • 法定相続人:連帯保証人に連絡が取れない・支払い能力がない・死去している場合などは、法定相続人が負担することとなります。法定相続人は、住人の財産が相続されますが、遺産・遺品など、プラスになる財産以外にも、借金や各種費用などマイナスの財産も受け継ぐ義務がある。
  • 貸し主:連帯保証人も法定相続人も支払いができない場合は、貸し主が清掃費用を負担する。厳密にいうと、清掃する義務はないが、清掃しなければ他の部屋の住人に迷惑がかかったり、次の借り主に貸すことができないため、清掃費用を払わざるを得ない。

2-2.事故物件の清掃内容

事故物件の清掃は、腐敗臭・害虫・体液・血液の除去など、一般の人にはできない内容です。そのため、特殊清掃員という職業が存在します。詳しくは「3.事故物件の清掃・業者に依頼する方法」でご紹介しますのでご参照ください。

2-3.事故物件の掃除は自分でできるか?

「腐敗臭・害虫・体液・血液などの掃除は確かに気持ち悪いけれど、自分で掃除できるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一般の人がこれらの清掃を行っても、完璧に清掃することは難しいでしょう。事故物件の清掃には、技術や経験のほか、専用の消毒液や脱臭機器などが必要なのです。さらに、感染病などのおそれもあるため、特殊清掃員に依頼するのが最適な方法でしょう。

3.事故物件の清掃を業者に依頼する方法

この項では、事故物件の清掃を業者に依頼する方法や具体的な流れなどをご紹介します。

3-1.清掃を依頼するメリット

特別清掃員に掃除を依頼することで、原状回復を行うことができます。原状回復した部屋や住宅は、次の家主へ貸すことが可能です。また、持ち家が事故物件となってしまった場合でも、清掃を依頼することで引き続き物件を使用することもできるでしょう。

3-2.清掃を依頼する先は?

事故物件の清掃は、特殊清掃員に依頼します。問い合わせや見積もりを行ってから、出張清掃に来るのが一般的です。WEBで検索すれば、お住まいの地域に対応している特殊清掃業者を探すことができるでしょう。

3-3.業者の選び方

特殊清掃業者を依頼する際は、業者選びに気をつけましょう。ポイントは以下のとおりです。

  • 特殊清掃の実績やノウハウがある
  • 見積もり等、料金が分かりやすい
  • リフォーム会社との提携有無(リフォームが必要な場合)

3-4.料金の相場

特殊清掃の料金の内訳や、相場をご紹介します。

  • ワンルーム:3万~10万円
  • 1DK:3万~12万円
  • 1LDK・2DK:5万~25万
  • 2LDK・3DK:9万~42万
  • 3LDK・4DL:12万~68万

料金に開きがあるのは、汚れの具合や遺品整理の有無によるものです。正確な料金を知るには、清掃業者に見積もり依頼を行うのがよいでしょう。

3-5.作業の流れ

特殊清掃業者による清掃の流れは以下のとおりです。

  1. 感染症予防措置(薬剤の散布など)
  2. 汚染物の撤去・クリーニング(体液や血液で汚れたもの)
  3. 害虫駆除(ウジやハエなどの駆除・再発防止)
  4. 不用品処分(家庭ゴミや大型ゴミの持ち出し・処分)
  5. 遺品整理(保管する遺品の整理。遺族と共に行うこともある)

3-6.注意点

夏場は腐敗が早く進んでしまいます。日にちがたつごとに汚れやにおいがしみこんでしまい、清掃が難しくなることもあるのです。なるべく早めに業者に依頼しましょう。

4.事故物件についてよくある質問

事故物件について、よくある質問をまとめました。

Q.残された家財はどうしたらいいですか?
A.汚れや死臭がついてしまっていることがあるので、清掃業者に処分を依頼しましょう。見積もりに、家財撤去費が含まれているかどうかも確認してください。

Q.遺体を発見してから特殊清掃を呼ぶまでの流れは?
A.部屋で遺体を発見した場合は、警察へ通報します。しばらくの間は立ち入り不可となりますが、この間に清掃業者を依頼しておきましょう。警察の立ち入り禁止が解除されてから、清掃業者の清掃が始まります。

Q.原状回復義務とはなんですか?
A.借りている部屋を傷つけたり汚したりしてしまった場合、借り主は原状回復をする義務があります。つまり、遺体の汚れやにおいを取る必要があるのです。たとえば孤独時の場合は、家財・家具などの撤去・消臭・汚れの清掃などがされていれば、原状回復したとみなされるのが一般的でしょう。

Q.事故物件のリフォームの必要性とは?
A.死臭や汚れのしみこみ具合によるでしょう。長期間遺体が放置されていた場合などは、床材や畳を通り抜けて、フローリングや床下まで汚れてしまっていることもあります。清掃だけではどうにもできない汚れは、リフォームによって交換作業を行う必要があるでしょう。

Q.個人が事故物件を掃除するデメリットは?
A.上記でご紹介したように、完全に掃除できない・感染症のおそれなどがあります。また、死臭をかいでしまうと体調不良や食欲不振だけでなく、PTSD・トラウマなどの可能性もあるのです。事故物件の清掃は、必ず特殊清掃員に依頼しましょう。

5.まとめ

事故物件の清掃についてご紹介しました。特殊清掃の内容・必要性などがお分かりいただけたと思います。万が一事故物件を抱えてしまった場合は、落ち着いて清掃業者を探しましょう。